Classici giapponesi con furigana
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うきふね
文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集
泉 鏡花
Leggi 文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集 (うきふね) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.938 caratteri · 67 schermate
九
この暑さと云ったら暑さが重石に成って、人間を、ずんと上から圧付けるようです。窓から見る松原の葭簀茶屋と酸漿提灯と、その影がちらちら砂に溢れるような緋色の松葉牡丹ばかりが、却って目に涼しい。海が焼原に成って、仕方がない、それじゃ生命も続くまいから、陸の方の青い草木を水にしておけ、と天道の御情けで、融通をつけて下さる、と云った陽気ですからね。」
「まあ、随分、ほほほ、もう自棄でございますわね、こんなに暑くっちゃ。」
その癖、見る目も涼しい黒髪。
九
「些とでも涼しい心持に成りたくッて、其処等の木の葉の青いのを熟と視ていて、その目で海を見ると、漸と何うやら水らしい色に成ります。
でないと真赤ですぜ。日盛なんざ火が波を打っているようでしょう。――さあ、然うなると不思議なもので今も言った通りです。潮煮の鯛の目、鮑の蒸したのが涼しそうで、熱燗の酒がヒヤリと舌に冷いくらい――貴女が云った自棄ですか――
夕方、今しがた一時は、凪の絶頂で口も利けない。餉台を囲んだ人の話声を、じりじりと響くように思って、傍目も触らないで松原の松を見ていて、その目をやがて海の上にこう返すと、」