Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うきふね

文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集

泉 鏡花

Leggi 文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集 (うきふね) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 32.938 caratteri · 67 schermate

Aozora Bunko

四

右様の勘定書に対すれば、洗った面で、けろりとして、

「おう、仕立ものの用はねえか。羽織でも、袴でも。何にもなきゃ経帷子を縫って遣ら。勘定は差引だ。」

女郎屋の朝の居残りに遊女どもの顔を剃って、虎口を遁れた床屋がある。――それから見れば、旅籠屋や、温泉宿で、上手な仕立は重宝で、六の名は七同然、融通は利き過ぎる。

尤も仕事を稼ぎためて、小遣のたしにするほどなら、女房を棄てて流浪なんかしない筈。

からっけつの尻端折、笠一蓋の着たッ切雀と云うも恥かしい阿房鳥の黒扮装で、二見ヶ浦に塒を捜して、

「お泊りだ、お一人さん――旅籠は鐚でお定り、そりゃ。」と指二本、出女の目前へぬいと出す。

誰が対手に成るものか、黙って動かす団扇の手は、浦風を軒に誘って、背後から……塩花塩花。

四

六は門並六七軒。

風体と面構で、その指二本突出して、二両を二百に値切っても、怒って喧嘩はしないけれど、誰も取合うものはなし。

いざ、と成れば、法もかく、手心は心得たが、さて指当って、腹は空く、汗は流れる、咽喉は乾く、氷屋へ入る仕覚も無かった。

すねた顔色、ふてた図体、そして、身軽な旅人の笠捌きで、出女の中を伸歩行く、白徒の不敵らしさ。