Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
「どうです、安いもんでしょう。三千貫とは」
「刀か。刀は腰にもある、家にもある。いらないよ」
「そうか。お武家もお盲さんか」
「なに」
「そんな、ざらにある駄刀とはちと違う。眼があるなら、抜いて見さッせ」
「なるほど、拵えは良さそうだな」
「ちっ。素人くさい。柄拵えや鞘作りを売るんじゃねえぜ。いらんか」
「まア、待て」――つい好きなので手をのばし、刀の鯉口下三寸の辺をぐっと握ってみた。男は手を放す。林冲は思わず、むむと心で唸った。
持ち味、たまらない触感と重みである。鞘を払ってみれば、夕星の下、柄手に露もこぼるるばかり。
ためつ……すがめつ……彼の眸は稀代な銘刀の精に吸いつけられ、次第に放しともない誘惑に駆られていた。
「浪人、どうしてこんな神品を手放す気になったのか」
「どうしてって。……この襤褸姿を見てくれればわかるだろう。飢えた妻子が待っている。それ以上、訊くのは罪だ」
「訊くまい。いくらだ」
「昨日今日、三千貫とわめいてみたが、売れない。御辺を眼のあるお人と見て、半分に負けてやる」
「欲しい。だが少々、金が足らん」
「一千貫。あとはビタ一文も引けない。それでよければ」