Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate

Aozora Bunko

虎は性来、敵が尾へ廻ることはおよそ嫌いだ。うしろは彼がもっとも弱点とする急所なのである。だから怒った。ばっと一躍するなり武松を搏ッた。

「おうッ」

と、武松は身を沈め、次の攻勢もスラと軽くかわした。すると虎は外された体をまるくちぢめ、背すじの峰を高めて、ふうッと唸った。その腥さい鼻風は砂礫を飛ばし、怒りは金瞳に燃え、第三の跳躍をみせるやいな、武松のからだを、まッ赤な口と、四ツ脚の爪の下に、引ッ裂かんとしたが、これまた武松にかわされると、彼のさいごの手とする素早い“払い”をこころみた。

撲つ、蹴る、払う。虎の戦法はこう三つを奥の手とする。そのすべてが効かないとなると、さしもの獣王も気萎えをするものだとか。武松は知っていたわけではないが、活眼、虎の虚を察するやいな、こんどは彼から跳びかかった。額の銀毛の斑を狙って、一拳を食らわせ、また二拳、鼻を搏ち、三打、虎の眼を突いた。

虎はクシャミのような悲鳴を発した。――が、もちろん、そんな程度では怯まない。とたんに武松の体が鞠のごとく七尺も先へ転がった。転がった上へは、間髪を入れず、黄まだらな蜒が尾を曳いて走り、武松のどこかを咥えたかと見えたが、逆に虎の体がもんどり打った。