Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
兄はころころ出て行ってしまった。「――なんだ! 女房にさせりゃあいいに」と、武松は少々むくれたが、金蓮はさっきから武松にばかり見惚れている。
おなじ兄弟でいながら、なんていう違いだろう。良人の武大ときては、背も五尺たらずのちんちくりんでおまけに猪首で薄野呂で、清河県でも一番の醜男と笑われていたのに、武松の身長け隆々たる筋骨は、男の中の男にも見える。どこ一つといって兄の武大とは似ていない。金蓮はひどく惹かれたらしい流し眼だった。
「……あの二郎さんのお宿はいま、どちらですの?」
「まだ、都頭になりたてのほやほやですからね。県城の官舎に独りでおりますよ」
「ま、お独りで」
「なアに気らくなもんですよ、兵隊暮らしは」
「だって、なにかとご不自由じゃありませんの? これからは、なんでもここへ来てわがままを仰っしゃってくださいましな。ご休暇といわず、いつでも来て」
「嫂さんだって、お忙しいでしょ。兄はあの通りな真正直者。清河県にいた頃から、鈍で才覚なしでただ稼ぐ一方と、世間さまからもとかく小馬鹿にされ勝ちな兄でしたからね。ほんとに、嫂さんも大変に違いない。どうかお願いしますよ、あんな兄でも」