Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate

Aozora Bunko

たち舞えば、いつも若やぐ雲の裳の

人の世の君とは

似つも、似ざりけり

彼女の歌と踊りにつれて、彼女の両の掌に握られていた象板(よつだけ)の活発な音階が、その足踏みを弾ませていた。細腰は風に旋り、鳳簪は月光にかがやき、しばらくは、仲秋の天地、虫の音までが彼女の舞にその鳴りをひそめてしまった風情だった。

とつぜん、醒めたように、一同の拍手がおこる。

終るやいな玉蘭は、お辞儀を一つして、飛鳥のように侍女の群れの中へ逃げ込みかけた。

「待て待て、玉蘭――」と、張総督は呼びとめて「ついでに、みなの杯へ、酒をついで廻るがいい。武松にも、もっとすすめてやれい」

武松は、あわてて、

「いやもう、てまえは」

「はははは、嘘を申せ。それしきで酔う武松とは聞いていないぞ。どうじゃ武松」

「はっ」

「気に入ったか」

「なにがでございますか」

「もし玉蘭が好きになったら、行く末、そちの妻に娶合せてつかわすぞ」

「滅相もない」

彼の言い方が、余り真剣だったので、あたりの者は、どっと笑った。その笑い声で、武松もいちどに酔を発した顔つきだった。あわれやこの正直者、みなの肴にされているとも知らず、玉蘭がおもしろがって強いるままに、なおも大杯を何度となく吸い干してみせた。