Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
ときにこの江州一円の奉行閣下は、蔡得章なる人で、当代宋朝の権臣、蔡京の九番目の息子にあたるところから、諸人は彼を、
蔡九さま
と、よんでいた。
その蔡九の奉行所から、宋江の身柄は、ただちに牢城の方へ引き渡される。宋江はかねがね聞いていたことなので、所持の金銀は惜しみなく係の諸官吏にわけ与えた。この頃、とくにこの世界では、賄賂はちっとも悪徳でない。相互の常識なのである。で、管営、差撥、書記、牢番にいたるまでが、
「いい新入りだ、気前のいいやつだ」
と、宋江にたいしては、みな愛相がよかった。例の新入りが食う殺威棒の百叩きも受けずにすんだ。
ところがある時、巡回の軍卒頭が、そっと宋江へ注意した。
「おい、君は抜かってるぜ。なぜいちばん大事な牢節級(江州両院の院長)へお袖の下を差上げておかねえんだ。たいへんお気をわるくしている様子だぞ」
「へえ、そうですか」
「そうですかって、平気でいるが、さっそく何とかしたらどうだい」
「いや、ほっときましょう。かまいません」
「おや。……おいおい、あとでひとを恨むなよ。ここの節級さまときたら、腕ぶしはすぐれているし、気は烈しい。