Classici giapponesi con furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate
こうしてまたたく二た月ほどは過ぎ、冬ぢかい秋の頃だった。
「ちと遠い村だが、豚、羊のいい売り物が出た。三日めには帰ってくるから店をたのむぜ」
「へい、行ってらっしゃい。旦那、そのお頭巾も着物も、さすがお屋敷の若奥様のお見立てで、よくお似合いになりますぜ」
「ばか。なにってやんで。肉切り職人は、暇があったら包丁でもよく磨いていろ。つべこべと、つまらねえ世辞などいうな」
出がけに、これが気色にさわった。そんな辻占も悪かったし、仕入れ向きはおもしろくなく、ついでに隣県まで足をのばして四日目に帰ってみると、なんと、店の戸は閉まっている。
「ああやっぱり? ……古の人はいいことをいっている。“人に千日のいい顔なし、花に百日の紅あらじ”と。……無理もねえ。兄貴は欠かさず役署づとめ。家のことはお構いなしの性分だ。そこへもってきて独り身のおれが、とかくあのきれいな義姉さんから、帯よ、頭巾よ、やれ肌着よと、あまやかされているのを知っちゃあ、近所の蔭口もそらおそろしい。そうだ、こいつを潮に身を退こう」
中へ入って、持ち金残らず精算書にして帳場におき。またべつに、ざっとした遺書一本書きのこすやいな、さっとそとへ飛び出しかけた。