Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しん・すいこでん

新・水滸伝

吉川 英治

Leggi 新・水滸伝 (しん・すいこでん) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 684.899 caratteri · 1374 schermate

Aozora Bunko

彼女は別れ際に、次をせびった。しかし寺である。そう口実をみつけて通って来るわけにはゆかない。そこで次のような一策を案出した。

良人の楊雄は、月のうち半分は宿直で、勤め先の牢役署から家には帰らない。――だから召使の迎児を裏口に出しておき、楊雄が不在の晩は、門口に線香を焚かせておく。

しかし、ひょっとして、逢曳きの寝疲れなどで、鴉の声にも目覚めずにすごしたら大変だから、朝まわりの頭陀(朝勤行に町の軒々を歩く暁の行者)をたのみ、朝々裏口で木魚を叩いて貰うことにしておけば、まず万一の心配もない。

「おいや? そうするは」

と、巧雲はながし目で言った。

「よいとも」と、如海もまた、この女の湿潤な肌の奥行きが忘れえず。「――寺に一人、気のきいた寺男がいる。それにたんまり握らせて、頭陀の役をやらせよう。だが、きっとだね」

「いやよ、あなたこそ、忘れては」

艶笑一顧、女は、もいちどおくれ髪を調べて寺を立ち去った。そして屋敷へ帰ると、次の日は小婢の迎児に珠やら着物やらを買ってやり、これも手のうちにまろめこんだ。わずかな鼻ぐすりですぐ忠犬に変る“奴才”の婢は、どこの家にもあるものか。