Classici giapponesi con furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Leggi 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 337.181 caratteri · 676 schermate
『片岡、弁当を食ろうじゃないか』
と、誘うと、
『お……。午か』
『午だ。小者が見えんから、湯呑所へ行って、湯を取ってくる』
『夕刻が、待ちどおしいなあ』
『何を考えこんでいるのか』
『べつに、考えこんでいるわけでもないが、この浅妻が、いつになく、いやな声で嘶くのだ。先刻から、それを四度も聞いた』
『他の馬だって、嘶いたり、暴れたりしているじゃないか』
『然し、声がちがう。――貴公、御馬廻りの役目でありながら、分らんか』
『気のせいだ。俺はそう思う。あまり吾々が、心をつかい過ぎるのは、殿様のお心を、よけいに研ぐようなものだ。御城外にあっては、為様がないじゃないか。飯でも食おう』
『そういうと、一応、講釈したくなる。――俺は先頃、音相学の書物を見た。顔に、人相がある如く、声にも、音相があるというのがその学説だ。……浅妻の嘶きが、いつもと、違うように感じたのは、俺が近頃、そんな事に興味をもって、五韻を聞きわけているせいかも知れない』
『ははは、人相と馬相とは、違うぞ。人間の音相学を、馬に当てはめようとしても、無理だろう』
『いや、鶏鳴や、犬声は、却って霊感のはやいものだ。