Classici giapponesi con furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Leggi 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 346.393 caratteri · 692 schermate
翌朝着て行く襦袢が、そこに出来かけていた。お今の胸には、すっかり東京風に作って、田舎の町へ入って行くときの得意さや、兄や母に逢って、自分の動かしがたい希望を告げて、自由な体になって、再び東京へ出て来る時の楽しさや不安などが、ぼんやりと浮んでいた。
「帰ってしまえば、どうせそれきりになっちまいますよ。」
お増はお今の前でもそう言っていたが、お今の頭脳には、自分の陥ちて行く道がはっきりしていなかった。
「私どうしても、帰って来ますわ。お正月までには、きっと来てよ。」
お今はそのたんびに言い張った。
浅井は火鉢の傍で、買って来た汽車の時間表などを、熱心に繰って見ていた。
「これがいい。朝の急行が……。」などと、浅井はそこのところを指して、茶をいれているお今に示せた。
お今はそこへ手をついて、顔を突き合わせるようにして、畳のうえにある時間表を眺めていた。強い力で、体を抱きすくめられるような胸苦しさが感ぜられて来た。田舎へ立つことになってから、今まで挾まっていた何ものかが、急に二人の心に取り除かれたのであった。
「私今度出て来たら、またこっちへ来てもいいでしょうか。