Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Leggi 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 209.260 caratteri · 418 schermate

Aozora Bunko

「ないかっ」

「ああ、余りと申せば」

「余りとは」

「ご、ご無体な!」

と、いうやいな、紋太夫の手は、連判状をつかんで、颯ッと、野獣の身をおどらすように、跳び退こうとした。

折返してある屏風の一端に、どっと、背をぶつけた。より早く、鬘桶を起った光圀の手は、かれの襟もとを固くつかまえて、

「悪人とは申せ、そちも一藩の国老ではないか。……卑怯はすな。醜しいまねはすな」

と、半ば、諭すように、半ば怒り哭くように、光圀もやや声をふるわせて、ふたたび鬘桶の下まで引き戻した。

二十二

下段の間に詰めていた井上玄桐以下の人々は、鏡の間の物音に、

(あっ、何か?)

と、色をなして、そこを窺い合った。

と、光圀の声で、内から、

「何事でもない。各※(二の字点、1-2-22)、物静かにさし控えておれ」

と、聞えた。

ぜひなく、人々は固唾をのんでいた。

そのあいだといえ、光圀は、左の拳にあつめた藤井紋太夫の襟元を、弛めもしなかった。

「おしずまり下さい」

反対に、紋太夫のほうからいった。

いちどは、身を退いて、逃げかけてみたが、考えてみると、鏡の間は、次のひかえ部屋と、一方の下段の間とに、囲まれているのである。