Classici giapponesi con furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.400 caratteri · 387 schermate
もはや礼拝も終って、三人は今墓を離れるところであろう。こんな荒れ果てた山の墓所には珍しく立派な扉の締る音がギーと胸を刳って淋しく響いてきて、重い鍵を掛けているらしくガチャガチャと金属と金属との触れ合う音が耳を打ってくるのであった。そして三人は落葉を踏んで道を埋めた青萱を分けながら、今私の佇んでいる前五、六歩の細径をまた本堂の方へと戻って行くらしい気色であった。
夕陽はいよいよ海の向うへその姿を没せんとしていたのであろう。夕映えは赤々とその辺一帯を染めなして、向うの三人からは仄暗い森の木立の陰になって私の姿は見えなかったであろうが、私の方からは眩しい黄金色の光芒の中に狭霧のように朦朧とこの三人の姿は映っているのであった。しかもこの三人の顔色というものは? 私が隠れているのを知ってか知らずにか凝乎と私の佇んでいる方角へ瞳を投げながら、この三人が通り過ぎて行った。思わずギョッとして私は全身が氷りついたかと思った。これが生きている人の顔色であったろうか。まるで土であった。途端透き徹るような蝋の色そのものであった。そして三人は今私の前五、六歩のところを通り過ぎてしだいしだいに向うの方へ立ち去って行く。