Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.400 caratteri · 387 schermate

Aozora Bunko

玉といって、この竜胆寺の邸にもう八、九年あまりも飼われている、年をへて全身の毛も銀色にかがやいた、老猫だったのです。

まことに怜悧な性質で、くる人くる人が、こんなかしこい猫は見たことがないと、口をそろえてほめそやすほど利巧な猫でした。

小金吾は生前どのくらい、この猫をかわいがっていたかしれません。玉よ玉よと、片時もそばをはなさぬくらい目をかけていましたから、その主人が急に見えなくなって、玉もどんなにがっかりしているのかしれません。

老母の泣いているのがわかるとみえて、ニャーオとなきもせず、ただお察し申しあげますといわんばっかりに、身をすりよせてくるのが、かえってなんともいえず、いじらしく思われます。

「玉や、おまえも淋しいのかえ?」

と泣きながら老母は、玉の頭へ手をやりました。

「……あんなにかわいがっていた小金吾がいなくなって、おまえもさぞさびしかろ。おうおう、わたしのいうことがわかるのかえ? そうかそうか、さびしいか……もうおまえも小金吾には、かわいがってもらえないのだよ。おまえをかわいがった小金吾は、いまもわたしの夢枕に立って、もう死んだか生きたか生死のほども、わからないのだよ」