Classici giapponesi con furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.400 caratteri · 387 schermate
「早月さんのすがたがちょっと見えませぬが……なんぞご用でいらせられましょうか?」
と、はいってきたのは、早月のかわりに初野という、召使だったのです。
「早く早く、これを見ておくれ。わたしには小切れのように思えるのだが、なんでしょう……?」
「紗の小切れでございますが……あっ、ご隠居さま黒血と泥が……」
と、初野はきみわるそうな叫びをあげました。
「あ、……笹竜胆のご定紋がついて……ご隠居さま、もしや、もしや若さまのお召しものの切れはしではございませんでしょうかしら?」
竜胆寺家代々の定紋、笹竜胆がついているとすれば、まさしくそれは、あの日、小金吾がきていったきものにまちがいありません。
「では、これを見ておくれ! これはなんの小切れでしょう?」
「麻の切れはし……三蓋菱のご紋がついております……これには泥も血もついてはおりませんが」
と、初野はふしぎそうに、表をかえし裏をかえして見いっているようすです。
三蓋菱の定紋がついているとせば、まさしく石藤左近将監の定紋……しかも、左近将監のきものの切れはしには、泥も血もつかず、小金吾の切れはしのみ泥にまみれ、黒血がこびりついているのです。