Classici giapponesi con furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.400 caratteri · 387 schermate
しかし将監は、それをふりかえるでもありません。
表座敷には、手燭をにぎったまま、お藤がつっぷしています。しかしそれをふりかえるでもありません。玄関の式台には、お藤どころかお里どころかだいじなだいじな息子の新之丞がたおれています。しかしそれさえも、もう左近将監の目にはとまりません。
ただ物の怪につかれたように、ギラギラとした目で闇のなかをみすえながら、砂利をふんで門のほうへでていこうとしているのです。
玄関のまえには、妻をころされてとほうにくれた仲八をかこんで、権六や定吉や佐平治が、ぼうぜんとしてことばもなくたたずんでいます。
「だんなさま、どちらへおいでなされます?」
と、あっけにとられて追いすがってきた権六と仲八をふりかえると、そのギラギラした左近将監の目が、異様な形相をおびてきました。おそらく曲者のすがたとでも、そのくるった目には、うつったのかもしれません。
「くせもの!」
と一声、権六めがけてやにわにまっこうから唐竹割に、かえす刀でグザと! 仲八の脇腹へ!
「うわァ!」
と、のけぞった権六と仲八のかげから、横とびににげだす定吉へ、
「曲者にげる気か!」