Classici giapponesi con furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.400 caratteri · 387 schermate
「いけねえ八! げんのうをもってこう!」
吉蔵のふりあげたげんのうの一打ちで、戸はメリメリと音だててやぶれはじめました。そしてやぶれた隙間へ手をかけて、八蔵が戸板をひっぱずす。つづいて与助がまた一枚をひっぱずす。山吉がそのとなりの板を! そして長年しめられてあったうすぐらい座敷のなかへ、サッと陽の光がさしこんだとたん、たちまち耳をつんざくような絶叫を、吉蔵があげました。
「あっいけねえ、先生、奥さまが!」
「何! 頼子が? ど、どうした?」
夢中でとびこんだ博士の目に、そのときうつったものは、なんというむごたらしい、あさましい頼子の最期だったでしょう。そしてなんという奇怪なこの離れ座敷だったでしょう。
あのうつくしい顔といわず手といわず足といわず、全身にするどい引っかき傷をうけて血まみれになった頼子のすがたがそこにのけぞって、しかもそのからだの上に天井がおちたとみえて、その辺一面にふるい板切れが散乱して、天井にはポッカリと大穴があいているのです。その大穴のところから、のけぞった頼子の上へおおいかぶさんばかりにまでたれさがった、大きな、まっくろい怪物は!