Classici giapponesi con furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Leggi 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.213 caratteri · 325 schermate
「見ろ、今夜こそは」
仲間に早変りした耀蔵は、軒下を小走りに尾けて行きながら、心の裡で叫んだ。
「――きっと、巣を、突き止めてやるぞ! 彼奴らの巣を!」と。
だが、賢い、すばやい、彼女の六感は、たちまち背後の不安な空気を感じたらしかった。数寄屋橋の袂まで来ると、
「駕屋さん――」
と、白い手をあげた。
「あっ」
と、耀蔵があわてる間に、彼女をのせた町駕は、山の手の方へ向って、もう風のように駈けていた。
「駕屋、駕屋」
と、耀蔵もすぐに、手を振ったけれど、風態の悪い仲間の呼び声に、おうっと、すぐに応じて来る駕屋はない。
「面倒だ」
耀蔵は、駈け出した。
足と足である。向うは駕籠、こっちは空身である。
宙を飛んで、後を尾けて行った。
――と先の駕は、外濠に添い、増上寺の山内に隠れ、白金台を一気に駈けて、やがて、目黒の行人坂の途中、紫陽花寺の門前で止まったと思うと、女の影は、駕を脱けて、ひらりっと、山門の中へ隠れ込んでしまった。
山城探索
「さては、悪人どもの巣は、この寺内か」
と、耀蔵もつづいて、山門を潜った。
庫裡の窓に、明りが映している。彼は、その下へ忍び寄った。