Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しゅくず

現代日本文学館8 徳田秋声

徳田 秋声

Leggi 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 327.364 caratteri · 638 schermate

Aozora Bunko

十九

」

「でも今は困るの。あの人財布を投げ出して行ってくれはしますけれど、それに手を着けたかないの。何かがつがつしているようで、さもしい感じでしょう。あの人たちお金に苦労したことのない人だけに、なおさらなの。」

それから株や何かで暮らしている両親たちの生活の外廓を、彼女なりの観察の仕方で話しながら、煮立っている鳥には、ろくろく箸もつけなかった。そして金を受け取ると、無造作にハンドバッグのなかへ押しこんで、

「今度またゆっくりお話ししますわ。今日はこれで失礼さしていただいてもいいでしょう。」

庸三は頷いた。

起ちかける葉子は彼の体に寄って来た。別れのキスでもしようとするように。庸三はあわてて両手でそれを遮ぎりながら身をひいた。

十九

庸三がもしも物を書く人間でなかったら――言い換えれば常住人間を探究し、世の中の出来事に興味以上の関心を持つことが常習になっていない、普通そこいらの常道的な生活を大事にしている人間だったら、葉子に若い相手ができた後までも、こうも執拗に彼らの成行きを探ろうとはしなかったであろうが、彼はこの事件もちょうどここいらで予期どおりの大詰が来たのだし、自身の生活に立ち還るのに恰好の時機だと知って、心持の整理は八分どおりついていながら、まだ何か葉子の匂いが体から抜けきらないような、仄かな愛執もあって、