Classici giapponesi con furigana
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しゅくず
現代日本文学館8 徳田秋声
徳田 秋声
Leggi 現代日本文学館8 徳田秋声 (しゅくず) di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 327.364 caratteri · 638 schermate
十三
末の娘を負ぶった大きい妹が、二階の三畳に寝ている銀子の傍に坐って、姉の目覚めをじっと待っていたことも、彼女の頭脳に日頃深く焼きついているのだった。
するうち悲哀に包まれた人々の環視のうちに、注射の利き目は次第に衰え、銀子の目先に黒い幕が垂れ、黒インキのようにどろどろした水の激流に押し流されでもするように、銀子は止め度もなくずるずる深く沈んで行き、これが死ぬことだと思った瞬間に、一切が亡くなってしまった。
十三
しかし銀子の生命の火はまだ消え果てず、二日ばかりすると、医師が動かしてはいけないというのを、彼女の希望どおり春よしの二階から担架でおろされ、寝台車で錦糸堀の家の二階へと移された。医師は途中を危ぶみ、手当をしてくれたうえ、自身付き添ってくれたが、そろそろ両国まで来たと思うと患者は苦しみ、橋の袂で休んでまた一本注射したりして、どうにか辿り着いたのであった。
家では大きい妹の時子も、下の奥の間で寝ていた。あの日彼女は妹を負ぶい、金をもらいに銀子を訪ねて来たのだったが、自動車から抱き降ろされ、真蒼になって二階へ担ぎあげられるのを見て肝を潰し、駈け出して来て家へ泣き込んだのであったが、一家の生命の綱と頼む姉が倒れたとなると、七人の家族がこの先きどうなって行くであろうか。