Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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すさのおのみこと

素戔嗚尊

芥川 竜之介

Leggi 素戔嗚尊 (すさのおのみこと) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 42.917 caratteri · 86 schermate

Aozora Bunko

」と云った。

「勾玉をくれ? くれと云えばやらないものでもないが、勾玉を貰ってどうするのだ?」

「まあ、黙って頂かせて下さい。悪いようにはしませんから。」

「嫌だ。どうするのだか聞かない内は、勾玉なぞをやる訳には行かない。」

素戔嗚はそろそろ焦れ出しながら、突慳貪に若者の請を却けた。すると相手は狡猾そうに、じろりと彼の顔へ眼をやって、

「じゃ云いますよ。あなたは今ここへ水を汲みに来ていた、十五六の娘が御好きでしょう。」

彼は苦い顔をして、相手の眉の間を睨みつけた。が、内心は少からず、狼狽に狼狽を重ねていた。

「御好きじゃありませんか、あの思兼尊の姪を。」

「そうか。あれは思兼尊の姪か。」

彼は際どい声を出した。若者はその容子を見ると、凱歌を挙げるように笑い出した。

「そら、御覧なさい。隠したってすぐに露われます。」

彼はまた口を噤んで、じっと足もとの石を見つめていた。水沫を浴びた石の間には、疎に羊歯の葉が芽ぐんでいた。

「ですから私に勾玉を一つ、御よこしなさいと云うのです。御好きならまた御好きなように、取計らいようもあるじゃありませんか。」

若者は鞭を弄びながら、透かさず彼を追窮した。