Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じけいろく

自警録

新渡戸 稲造

Leggi 自警録 (じけいろく) di 新渡戸 稲造 (にとべいなぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 168.224 caratteri · 328 schermate

Aozora Bunko

したがって思想的根底において衝突せぬものであるが、実行にあたっては衝突する場合がたくさんある。

孝ならんと欲すれば忠ならず、忠ならんと欲すれば孝ならずと歎くものは、独り平重盛に限らない。些細なることにおいても、少しく考うると必ず衝突の問題の起こらぬことはない。朝自分の家を出て事務所なり学校なりに通わんとするに、右のほうが道がよいか左がよいか、必ず問題として考え得る。右は近いが左のほうが歩きやすいとか、右は平坦だが左道は清潔だとか何とか、たいがいのことには得失問題を起こす理由がある。そしてその判断には少なからず苦しむものである。

むかしの英傑の伝を見るに、果断だとか、「裁決流るるがごとし」とかぞうさもなく出来るように書いてある。彼らが凡人よりも早く事物の要点を見る明晰の頭脳を有することは疑いなきも、また凡人の窺知し得ざる苦労を経るのである。光圀卿の、

見れば只何の苦もなき水鳥の足にひまなき我思ひかな

である。

シーザーがその留守中にローマに乱の起これるを聞き、出征先より大軍を率いて帰国し、自国に入ろうか入るまいかとルビコン河畔に立ったときは、凡人の考え得られぬ苦心があったであろう。