Classici giapponesi con furigana
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じけいろく
自警録
新渡戸 稲造
Leggi 自警録 (じけいろく) di 新渡戸 稲造 (にとべいなぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 168.224 caratteri · 328 schermate
同じ事が弁解にもなり有罪にもなる
同じ事が弁解にもなり有罪にもなる
僕の知人に思いがけなき災難にあって裁判所に呼び出された人がある。彼は日ならずして無罪を宣告せられたが、逮捕の理由は彼がある嫌疑者に数千の金を与えたというにあって、裁判官が、
「なにゆえに貴様はかかる大金を彼に与えたるか」
の尋問に対し、彼は、
「彼が嫌疑がましいことをなすにつけ、いついかなる運命に陥るかも知れぬ、万一そうなると自分の心残りとすることは一人の老母の身の上である、老母が安全に生活する心配がなければ、私は繋獄の身となるも悔ゆることがない、ついては若干の金を得て老母の養老金にしたいと頼まれ、わが輩一片の義侠、これを否むに忍びず、彼のために出金した」
と答えたが裁判官はこの事実をもって彼を共謀者なりとみなした。すなわち僕の友人は答うるに事実のままをもってしたが、裁判官はこれをそのままに受けないで、憐れであるから金を恵むというも、一円や二円の額ならその申し開きも受け取れるが、数千の金を出すにいま述ぶるがごとき申し訳けは取り上げがたいと告げた。友人はこれを聞き、カッとしてわが胸中に湧きいずる同情の海に比ぶれば二千、三千の金はその一滴にだも値せずと絶叫したと聞いた。