Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じけいろく

自警録

新渡戸 稲造

Leggi 自警録 (じけいろく) di 新渡戸 稲造 (にとべいなぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 168.224 caratteri · 328 schermate

Aozora Bunko

渡る世間に鬼はない、鬼でさえ頼めば人を食わぬ。窮鳥懐に入れば猟夫もこれを殺さぬ。怖気たり臆病な人も、他に信じてかかれば怖るることがなくなる。僕はこの一時の経験により、自分の心理状態に一大改革を経たように思う。あるいは読者中には、粗雑にしてかつ乱雑なる僕の演説を聞かれた人もあろうが、こんにち日本においても聴衆の前に立ち、何らの腹案もなく述べ出す。

学術上のことはさて措き、日ごろ思っている考え、日ごろ懐ける感情を述ぶるに、何の怖れることもない。ありのままに口を開け、「腸見せる柘榴」同然にやる。隠したところが、数百の聴衆は僕よりもいっそう鋭敏なる眼をもって見つつある。隠さんとしても隠しきれぬ。急に君子顔を装ったとて、また言葉だけに珠をつらねたとても、音調に得た所がなければ、聴衆の嘲弄を招くばかりである。またその場に急に英雄豪傑を真似たとて、その腹の底に胆力がなければ、話しているあいだの姿勢にて暴露する。聴衆は自分よりも具眼の士であると、彼らを信じてかかれば、かえって怖しくなくなる。同じ獅子の穴に入るにしても、相手が己れを食らうなど思えばおそろしくなるが、この獅子は妄りに人を食わぬことが分かれば、恐怖の念が去る。