Classici giapponesi con furigana
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みちくさ
道草
Leggi 道草 (みちくさ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.812 caratteri · 293 schermate
十五
「御前誰からそんな事を聞いたのかい。己は話したつもりはないがな」
「貴方じゃありません。御兄さんに伺ったんです」
細君の返事は健三に取って不思議でも何でもなかった。同時に父の意志も兄の言葉も、彼には大した影響を与えなかった。
「おやじは阿爺、兄は兄、己は己なんだから仕方がない。己から見ると、交際を拒絶するだけの根拠がないんだから」
こういい切った健三は、腹の中でその交際が厭で厭で堪らないのだという事実を意識した。けれどもその腹の中はまるで細君の胸に映らなかった。彼女はただ自分の夫がまた例の頑固を張り通して、徒らに皆なの意見に反対するのだとばかり考えた。
十五
健三は昔その人に手を引かれて歩いた。その人は健三のために小さい洋服を拵らえてくれた。大人さえあまり外国の服装に親しみのない古い時分の事なので、裁縫師は子供の着るスタイルなどにはまるで頓着しなかった。彼の上着には腰のあたりに釦が二つ並んでいて、胸は開いたままであった。霜降の羅紗も硬くごわごわして、極めて手触が粗かった。ことに洋袴は薄茶色に竪溝の通った調馬師でなければ穿かないものであった。しかし当時の彼はそれを着て得意に手を引かれて歩いた。