Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(二)八人芸の女
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(二)八人芸の女 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 144.562 caratteri · 291 schermate
通されたのは奥の六畳、型のごとく明窓浄几、側には俳書らしいのを入れた本箱、前の炉には釜がチンチンたぎって、俳画の細物の一軸が後ろにあるといった道具立てで、主人の鶯谷は茶色の頭巾を深々と冠り、被布を羽織ったまま、口をもぐもぐさせて二人を迎えます。
「私は神田の平次ですが、――ちょいと伺いたいことがあって上がりました」
挨拶がすむと、平次は早速膝を乗出しました。
「左様、左様、結構なお天気で、――親分もやはり、その道のたしなみがおありかな」
五音の外れた声、あまりの事に二人は顔を見合せるばかりです。
「そうじゃありませんよ、宗匠、裏木戸の錠のことですが」
「よく聞えますよ、裏木戸がどうかしましたか」
大きい声だけは辛くも聞える様子ですが、聾の癖で、半分聞えたのを、すっかり呑込んでしまうので話の運びのむずかしさというものはありません。
それでもどうやらこうやら、裏木戸の錠は二年前におろしたまま、一人も開けた者のないということだけは確かめました。
「それから、宗匠、あのお糸という――」
女の話を訊こうとすると、そこへ大丸髷四十前後の、恐ろしく若造りな女が出て来ました。