Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.230 caratteri · 280 schermate

Aozora Bunko

八

ようやく田町を流しているのを突き止めて、蕎麦屋へ入って一杯呑ませながら聴くと、十手より酒精の方が利いて、思いの外スラスラと話してくれました。

「佐野喜の主人は酒を呑んでいなかったのかい」

と平次。

「ヘエ、酒の気もありませんでしたよ」

多の市の答えはまず予想外です。

「何かものを言ったろう」

「何にも言わないから少し向っ腹が立ちましたよ。世の中には無愛想な人間もあるものだが、あんなのはありません。もっとも二百も祝儀を出しゃ、石地蔵を揉んだって腹は立ちませんがね」

「あのお鶴という小さい娘が取次いだのかい」

「ヘエ」

「療治の間主人は眠ってでもいたのかい」

「とんでもない、心臓が悪い様子で、大変な動悸でしたよ」

「外に何か不思議に思ったことはないのか。揉んでいて何か物音が聞えるとか、他の人間の気配がするとか」

「そういえば、佐野喜の主人ともあろうものが、お召物がひどく粗末でしたよ」

「それっきりか」

「もう一つ、あの人はもと職人か百姓をしたことがあるでしょうか、手がひどく荒れていましたが」

「フーム」

平次は深々とうなずきました。

八

「来いッ八」

「どこへ行くんで、親分」

「下手人が判った」