Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

Leggi 銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 139.230 caratteri · 280 schermate

Aozora Bunko

三

ひとたまりもないよ」

定吉は後ろから覗きました。

「猿が木から落ちたようなものだ」

「猿は木から落ちるかも知れないが、名人と言われた小艶が綱から落ちるはずはないよ。こめかみへ吹矢でも射込まれなきゃ――」

定吉の指さしたのを見ると、小艶の右のこめかみに深々と吹矢の突っ立った跡があって、襟まで流れた血が、玉虫色に固まりかけております。

「吹矢は?」

「縄付と一緒に番所へ持って行ったよ。油で痛めた古竹の芯へ、美濃紙の羽根を巻いた凄いやつさ」

「どこから吹き付けたんだ」

「舞台裏さ、来てみるがいい」

ガラッ八は定吉とつれ立って、すぐ傍の舞台へ行ってみました。仮小屋の至って粗末なものですが、骨組だけは厳重で、舞台の上から客席の天井を通って、向う桟敷まで張った綱の高さは、全く六間以上もあるでしょう。

「客の頭の上に落ちなかったのが、まだしも仕合せさ」

定吉は頭の上を走る綱を見上げました。

三

小艶が落ちたあたり、舞台の上には血がこぼれて、いろいろの大道具、小道具が取散らしてあります。

天井からは幾つかの鞦韆がブラ下がり、衝立、小机、竹馬、大小の箱、鞭、それに何に使うか見当も付かないものが舞台裏一パイに並べてあり、その蔭――ちょうど小艶の死体の入れてある小部屋の前に問題の吹矢筒が投げ出されてあったということです。