Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひだのかいだん

飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選

岡本 綺堂

Leggi 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.271 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

(五十七)

」

彼は洋燈を持出して庭を照すと、足跡は確に残っているが、人の形は見えぬ。猶も燈火を彼地此地へ向けている中に、雪は渦巻いて降込んで来た。袖で掩う間も無しに、洋燈の火は雪風に吹き消されて、室の内は俄に闇となった。

忠一は引返して燐寸を擦ろうとする時、一個の小さい人間が闇に紛れてひらりと飛び込んで来た。重太郎は縁の下に潜んで内の様子を窺っていたのである。暗い中でも眼の鋭い彼は、洋刃を逆手に振翳して直驀地に市郎の寝床へ跳り蒐った。

(五十七)

何者か知らぬが、不意に庭から飛び込んで来たので、忠一は早くも其の背後から組付いた。重太郎は焦って振放そうと試みたが、此方も多少は柔道の心得があった。

「こん畜生、温順く降参しろ。一体、貴様は何だ、何者だ。」

重太郎は物をも云わなかった。羽翅締めの身を悶きながら、洋刃を逆にして背後を払うと、切先は忠一が右の臂を擦った。これで思わず手を弛める隙を見て、彼は一足踏込んで当の仇の市郎に突いて蒐ると、対手は早くも跳ね起きて、有合う衾を投げ掛けたので、小さい重太郎は頭から大きい衾を被って倒れた。

「占めたッ。」

忠一は衾の上から乗かかって押えた。