Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate

Aozora Bunko

彼女の心をなだめて行った。

人の声がしたので、跳あがるように身を起したお島の目に、松の枝葉を分けながら、山を降りて来る二人の姿がふと映った。お島は可恥しさに体が慄然と立悚むようであった。

お島は二人の間に挟まれて、やがて細い崖道を降りて行ったが、目が時々涙に曇って、足下が見えなくなった。

父親に引立てられて、お島が車に乗って、山間のこの温泉場を離れたのは、もう十時頃であった。石高な道に、車輪の音が高く響いて、長いあいだ耳についていた町の流れが、高原の平地へ出て来るにつれて、次第に遠ざかって行った。

夏時に氾濫する水の迹の凄いような河原を渉ると、しばらく忘れていたS――町のさまが、直にお島の目に入って来た。見覚えのある場末の鍛冶屋や桶屋が、二三月前の自分の生活を懐かしく想出させた。軒の低い家のなかには、そっちこっちに白い繭の盛られてあるのが目についた。諸方から入込んでいる繭買いの姿が、めっきり夏めいて来た町に、景気をつけていた。

お島は浜屋で父親に昼飯の給仕をすると、碌々男と口を利くひまもなく、直に停車場の方へ向ったが、主人も裏通りの方から見送りに来た。