Classici giapponesi con furigana
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あらくれ
あらくれ
徳田 秋声
Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate
「伯母さんの旦那は、こんなお上品な人だったんですかね」
お島は不思議そうにその前へ立って笑った。その良人が、若いおりには、或大名のお抱えであったりした因縁から、桜田の不意の出来事当時の模様を、この伯母さんは、お島に話して聞かせたりした。子供をつれて浅草へ遊びに行ったとき、子供が荷物に突当ったところから、天秤棒を振あげて向って来る甘酒屋を、群衆の前に取って投げて、へたばらしたという話なども、お島には芝居の舞台か何ぞのように、その時のさまを想像させるに過ぎなかった。
「この伯母さんも、旦那のことが忘れられないでいるんだ」
伯母と一緒に暮すことになってから、お島は段々彼女の心持に、同感できるような気がして来た。
「やっぱり男で苦労した若い時代が忘れられないでいるんだ」
お島はそうも思った。
そんなに好いものも縫えなかった伯母の身のまわりには、それでも仕事が絶えなかった。中には芸者屋のものらしい派手なものもあった。
その手助に坐っているお島は、仕事がいけぞんざいだと云って、どうかすると物差で伯母に手を打たれたりした。
重に気のはらない、急ぎの仕事にお島は重宝がられた。