Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate

Aozora Bunko

小野田は切たての脊広などを着込んで、のっしりした態度を示していた。

お島は自分の性得から、N――市へ立つ前に、この男のことをその田舎では一廉の財産家の息子ででもあるかのように、父や母の前に吹聴しずにはいられなかった。それで小野田もその意で、母親に口を利いていた。

「この人の家は、それは大したもんです」

お島は母親を威圧するように、今日も皆が揃っている前で言ったが、小野田はそれを裏切らないように、口裏を合せることを忘れなかった。

「いや私の家も、そう大した財産もありませんよ。しかしそう長く苦しむ必要もなかろうと思います。夫婦で信用さえ得れば、そのうちにはどうにかなるつもりでいますので」

母親の安心と歓心を買うように、小野田は言った。

お島はその傍に、長くじっとしていられなかった。自分を信用させようと骨を折っている、男の狡黠い態度も蔑視まれたが、この男ばかりを信じているらしい、母親の水臭い心持も腹立しかった。

嫂は、この四五年の良人の放蕩で、所有の土地もそっちこっち抵当に入っていることなどを、蔭でお島に話して聴せた。

「御父さんが、あすこの地面を私にくれるなんて言っていましたっけがね、あれはどうする気でしょうね」