Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

Leggi あらくれ di 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 119.451 caratteri · 236 schermate

Aozora Bunko

小野田は彼女の肉体に、生理的傷害の来ることを虞れて、時々それを気にしていたが、自転車で町を疾走するときの自分の姿に憧れているようなお島は、それを考える余裕すらなかった。

「少しくらい体を傷めたって、介意うもんですか。私たちは何か異ったことをしなければ、とても女で売出せやしませんよ」

お島はそう言って、またハンドルに掴まった。

朝はやく、彼女は独でそこへ乗出して行くほど、手があがって来た。そして濛靄の顔にかかるような木蔭を、そっちこっち乗りまわした。秋らしい風が裾に孕んで、草の実が淡青く白い地についた。崖のうえの垣根から、書生や女たちの、不思議そうに覗いている顔が見えたりした。土堤の小径から、子供たちの投げる小石が、草のなかに落ちたりした。

「おそろしい疲れるもんですね」

一月ほどの練習をつんでから、初めて銀座の方へ材料の仕入に出かけて行って、帰って来たお島は、自転車を店頭へ引入れると、がっかりしたような顔をして、そこに立っていた。

「須田町から先は、自分ながら可怕くて為様がなかったの。だけど訳はない。二三度乗まわせば急度平気になれます」お島は自信ありそうに言った。