Classici giapponesi con furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Leggi パンドラの匣 (パンドラのはこ) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 192.644 caratteri · 386 schermate
だから僕は、このごろ毎日、不機嫌なんだ。ひどく怒りっぽくなった。智慧の実を食べると、人間は、笑いを失うものらしい。以前は、お茶目で、わざと間抜けた失敗なんかして見せて家中の人たちを笑わせて得意だったのだが、このごろ、そんな、とぼけたお道化が、ひどく馬鹿らしくなって来た。お道化なんてのは、卑屈な男子のする事だ。お道化を演じて、人に可愛がられる、あの淋しさ、たまらない。空虚だ。人間は、もっと真面目に生きなければならぬものである。男子は、人に可愛がられようと思ったりしては、いけない。男子は、人に「尊敬」されるように、努力すべきものである。このごろ、僕の表情は、異様に深刻らしい。深刻すぎて、とうとう昨夜、兄さんから忠告を受けた。
「進は、ばかに重厚になったじゃないか。急に老けたね。」と晩ごはんのあとで、兄さんが笑いながら言った。僕は、深く考えてから、答えた。
「むずかしい人生問題が、たくさんあるんだ。僕は、これから戦って行くんです。たとえば、学校の試験制度などに就いて、――」
と言いかけたら、兄さんは噴き出した。
「わかったよ。でも、そんなに毎日、怖い顔をして力んでいなくてもいいじゃないか。