Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Leggi パンドラの匣 (パンドラのはこ) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 192.644 caratteri · 386 schermate

Aozora Bunko

無試験の学校へはいりたい。

四月二十一日。水曜日。

曇、夜は雨。どこまでつづく暗鬱ぞ。日記をつけるのも、いやになった。きょう、数学の時間に、たぬきが薄汚いゴム長靴などはいて来て、このクラスには四年から受ける人が何人いるかね、手を挙げて、と言うから、ハッとして思わずちょっと手を挙げたら、僕ひとりだった。級長の矢村さえ、用心して手を挙げない。うつむいて、もじもじしている。卑怯な奴だ。たぬきは、へえ、芹川がねえ、と言って、にやりと笑った。僕は恥ずかしくて、一瞬間、世界が真暗になった。

「どこへ受けるのかね。」たぬきの口調は、ひとを軽蔑し切った口調だった。

「きまっていません。」と答えた。さすがに、一高、と言い出す勇気は無かった。悲しかった。

たぬきは、口鬚を片手でおさえてクスクス笑った。実に、いやだった。

「しかし、みんなも、」とたぬきは改まった顔つきをして、みんなを見渡し、「四年から受けるならば、ちょっと受けてみましょうなんて、ひやかしの気分からでなく、必ず合格しようという覚悟をきめて受けなくてはいかん。ふらついた気持で受けて、落ちると、もう落ちる癖がついて、五年になってから受けても、もうだめになっている場合が多い。