Classici giapponesi con furigana
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パンドラのはこ
パンドラの匣
Leggi パンドラの匣 (パンドラのはこ) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 192.644 caratteri · 386 schermate
また、しばらくは無言だ。ひどく窮屈である。圧迫が刻一刻と加わって来て、いたたまらない気持である。
「何も、」聞きとれないような低い声である。「怒って帰る事はない。」
「はあ。」思わずぺこりと頭をさげた。だから、運転台に乗ればよかったんだ。
「津田君とは、どんな知り合いなのかね。」
「は、兄さんが小説を見てもらっているんです。」と言ったが、斎藤氏は聞いているのか、聞いていないのか、少しの反応もなく、黙っている。しばらくしてから、
「津田君の手紙は、れいに依って要領を得ないが、――」
やっぱりそうだった。あれだけでは、なんの事やらわかるまい。
「俳優になりたいんです。」結論だけ言った。
「俳優。」ちっともおどろかない。そうして、それっきりまた、なんにも言わない。僕は、さすがに、じれったくなって来た。
「いい劇団へはいってみっちり修業したいと思うんです。どんな劇団がいいのか教えてください。」
「劇団。」低く呟いて、またしばらく黙っている。僕は、ほとほと閉口した。「いい劇団。」と、また呟いて、だしぬけに怒声を発した。「そんなものは無いよ。」
僕は、おどろいた。失礼して、自動車から降ろしてもらおうかと思った。