Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Leggi パンドラの匣 (パンドラのはこ) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 192.644 caratteri · 386 schermate

Aozora Bunko

歌舞伎座、十月一日初日。出し物は、「助六」漱石の「坊ちゃん」それから「色彩間苅豆」。

僕の初舞台だ。もっとも僕の役は、「助六」では提灯持ち、「坊ちゃん」では中学生、それだけだ。それなのに、その稽古の猛烈、繰り返し繰り返しだ。家へ帰って寝てからも、へんな、いやらしい夢の連続で、寝返りばかり打っていた。あんまり疲れすぎると、かえって眠られぬものである。

けさは八時頃、下谷の姉さんから僕に電話だ。一大事だから、すぐに兄さんと二人で、下谷へ来てくれ、一大事、一大事、と笑いながら言うのである。どうしたのです、といくら尋ねても教えない。とにかく来てくれ、と言う。仕方が無い。兄さんと二人で、大急ぎでごはんを食べて下谷へ出かける。

「なんだろうね。」と僕が言ったら、兄さんは、

「夫婦喧嘩の仲裁はごめんだな。」と、ちょっと不安そうな顔をして言った。

下谷へ行ってみたら、なんの事はない、一家三人、やたらにげらげら笑っている。

「進ちゃん、けさの都新聞、読んだ?」と姉さんは言う。なんの事やら、わからない。麹町では都新聞をとっていない。

「いいえ。」

「一大事よ。ごらん!」

都新聞の日曜特輯の演芸欄。