Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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パンドラのはこ

パンドラの匣

太宰 治

Leggi パンドラの匣 (パンドラのはこ) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 192.644 caratteri · 386 schermate

Aozora Bunko

どうも、男から見ていやなやつほど、女に好かれるようだ。固パンの出現に依って、「桜の間」の空気も、へんにしらじらしいものになって来た。かっぽれは、既に少し固パンに対して敵意を抱いているようだ。きょうの夕食前の摩擦の時にも、助手さんたちは固パンに向って英語を色々たずねて、

「ねえ、教えてよ。ごめんなさいね、ってのは英語でどういうの。」

「アイ、ベッグ、ユウア、パアドン。」固パンは、ひどく気取って答える。

「覚えにくいわ。もっと簡単な言いかたが無いの?」

「ヴェリイ、ソオリイ。」実に気取って言う。

「それじゃあね。」と別な助手さんが、「どうぞお大事にね、ってことを何というの?」

「プリイズ、テッキャア、オブ、ユアセルフ。」 take care を、テッキャアと発音する。なんとも、どうも、きざな事であった。

助手さんたちは、それでも大いに感心して聞いている。かっぽれには、僕以上に固パンの英語が癇にさわるらしく、小さい声でれいの御自慢の都々逸、

『末は博士か大臣か、よしな書生にゃ金が無い』とかいうのを歌ったりして、とにかく、さかんに固パンを牽制しようとあせっている様子であった。