Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
「大丈夫なの? 起きていらしって」
「ああもう大丈夫なの。――さぞ寒かっただろうね、……それでもまあよく無事で」
伸子は、
「さあお床へ行きましょう」
と、お召のどてらを羽織っている母の背中に手をまわした。
「もういくらでもゆっくり話せるんだから」
母は、伸子が軽く押すのをこばむように、足に力を入れた。
「本当に大丈夫なの、心配しないでも。――大抵起きているのだから」
「――だって――」
伸子は、疑問を感じて母の顔を見た。母は少しやつれ、髪を引っつめにしている。伸子は、小声で訊いた。
「赤ちゃんは?」
母は、微かに間の悪そうな表情で、
「いいえ、それがね」
と、低いなりにしっかり云いかけたが、
「いずれあとですっかり話すよ」
と囁くと、急に晴れ晴れ声を張り上げて、下の娘を呼んだ。
「つや子ちゃん、つや子ちゃん、どこにいるの、お待ちかねのお姉ちゃまがお帰りですよ」
そして、先へ立って、父や弟達もいる部屋の戸をあけた。
「おかしな子だこと、今朝からあんなに大騒ぎをして待っていたのに。――火のそばへ行くといいわ。生憎雨降りでねえ、今日は」
伸子は、自分の生れた家へ、一年ぶりで帰ってきたのであった。