Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
伸子は、自分に不安を与える真白い生ものの耳のようなその方を見ないようにして、父に云った。
「父様、お召かえになってはいかが? 本当に有難うございました。――今日はね」
伸子は弾まない空気を引き立てるように佃に説明した。
「私が大寝坊をしたところへ電報が来たのよ。だから慌てたと云ったらないの。父様だって不意の召集よ、ね」
「ああ。――しかし日曜で結構だった。――他の日は無茶に忙しくてね。君なんぞも当分、よほど気をつけないと神経衰弱にかかりますよ。外国は一般に規則だっているが、こちらは生活のシステムも、プリンシプルもあったものじゃあない。盲滅法、ごたごたです。――まあ家にかえった積りで、暫くのんびりし給え」
「有難うございます。いろいろ御面倒になります……」
風呂場に佃を案内して伸子が戻ると、多計代は、客間の入口に立って、亢奮した顔付で良人と低声に何か話していた。
佐々は伸子と入れ違いに書斎に去った。多計代はそこで伸子をつかまえ、警告するように云った。
「佃さんという人はいつもあんな顔色なのかえ?――ただの色じゃないよ、あれは」
伸子は、あまり自分の予想が当ったので、思わず無邪気に笑い出した。