Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
――それは冗談だがね」
多計代は、泉さんの絵を出して見せ、それについて二三批評した。
「どう思うかい? 気魄が無さすぎるだろう。私は玄人になりすぎて、かじかんだようなのは嫌いさ」
伸子は、違い棚の下に、見なれない螺鈿の中国の小箪笥が置いてあるのを見つけた。大胆な柘榴の実の図案だが、象眼した貝の色が、深味もあり厚みもあって、素晴らしく立派であった。
「いいのね、いつお買いになったの」
多計代は、竹の清書でもするのか、片手を毛氈について、筆に墨をふくませながら、
「え」
と生返事をした。
「どれ? ああ、それかい、綺麗だろう? 例によって父様のどらさ。私の絵具箪笥にしろって、下すったの」
伸子には、夜、父がわざと知らん顔で、その大包みを部屋に運ばせて入って来た様子が、見えるようであった。
「相変らずフェイスフル・ハズバンドね……親切にして上げないと罰が当るわ」
「……私も近頃はそう思うよ」
多計代は、首を曲げて、自分の描いた細竹の枝を眺めながら、ゆっくり云った。
「近頃は全くいい父様さ、私もお気の毒だと思うようになった……相変らず癇癪はひどいけれどね……」
「もとからいい夫じゃないの」