Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
寝しなに、佃が着物を着換えながら云った。
「あああ、――まあ仕方がない、人間は二つの神には仕えられないから」
「……あなただって私の神じゃない」
床に入っても寝つかれず、異様な寥しさであった。伸子が、夫である佃と、自分達二人の生活に対して抱いている気持が、若し母に分っていたら、ああは云えなかったであろう。伸子は、勝手から打ち明けずにこそいるが、母が嫉妬し憤るようなものは、何一つ持ってはいはしないのだ……目が醒めても、そのように思いながらいつとなしに寝入った夜前の淋しい心持が消えなかった。瞼から日の光がさすと一緒に、その淋しさが、ひときわ心の底にしみ入るようであった。
「――起きた?」
佃が来て、寝ている伸子の額にさわった。
「工合がわるい?」
「大丈夫」
「医者呼びますか」
「いいのよ、本当に。……一寸へばっただけ」
一日伸子はよこたわっていた。
二日三日と経つうち、伸子は恢復した。気持の上で、新しい一つの添えものを持って恢復した。それは、これまでにないさっぱりした気持、軽やかな気持に、不断の淋しさが加わったもので、田舎から帰って後ずっとある彼女の、自分でしゃんと立って行こうとする欲望と真面目に結びついたものであった。