Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
「おいきたらいいだろう。折角天気もこんなじゃし……」
伸子は一緒に、博覧会見物に出かけた。青山御所の土手に蒲公英が咲き、濠端の桜が八分通りの見ごろであった。電車に、揃いの花簪と手拭をつけた田舎の見物人が乗り合せた。
会場で、老人は、各県から集った材木や農産物に、深い興味を覚えるらしかった。
「同じ農業と云うても、近頃は私の若かった頃とは万事ころりと違うな。稲の種類も、こんなに今はたくさんになったが、眼目は何かと云うと、早う、たくさん収穫しようと皆が狙いおる。――早う、たくさん穫れる種類ほど、味ないな、どうも……」
古風な毛皮帽をいただき二重廻しを着た白髯の老人と、ゆっくり、材木の間や赤リボンのついた壜づめの麦粒の見本などを眺めて歩くのは、伸子に珍しい楽しい感じであった。けれども、佃は気をせき、老父や伸子の先に立って歩き、ともすると一人離れた。はぐれまいとするので、彼ら二人もひとりでにいそぐようになった。佃が、
「ここも見ますか?――彼方と同じようだな」
と云って立ち止りかけると、老父は遠慮そうに、
「もうええにしよう、なんぼ見ても、まあ、大同小異と云うもんじゃろ」