Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate

Aozora Bunko

「…………」

帰途、俥の上で思いつづけて来た自分らに対する叱責、佃の、いつも伸子を苦しめるその妙な心持の持ってゆきかた、それらを二重に悲憤する気持で、伸子は云った。

「本当を云えばそうじゃないでしょう? それなら、いずれしなければならないことじゃないの。私の幸福のためにするんじゃない、実際のゆきがかり上、必要だからするのよ。それでまた、いいんですもの――いやに恩になんか、きせっこなし」

「――君が行けと云うから、私はそれに従うだけです」

「私、行って下さいと云いやしなくてよ、御自分が折れて出るの癪なら、動坂へなんか、行くのやめてしまいなさいって、云っているのよ。お父さんに体裁のいいところを見せて、安心させたいなら、仕方がない、行く。どっちかじゃないの。御自分はどっちがいいのよ、本当に!」

「…………」

「――あなた、本当に変だわ」

伸子は苦い汁のような涙を滲ませた。

「もう少し率直だってよかないの。へまをするよりよっぽどいやだ」

「行きますよ、だから」

「行く、行かないなんか、どうだっていいわ、そう云うの私腹が立つのよ。あなたみたいに、何でも誰かのためにしなけりゃ気のすまない人、めずらしい」