Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
「何ですか」
「相談があるの」
「なんです」
「ねえ……夫婦の生活というものはこういう形しかないもの?」
「さあ……、どう云う意味で云うのか知らないが、そうでしょう」
「もっと自由じゃいけないのかしらん」
佃は本を手にとり上げながら、警戒するように伸子の顔を見た。
「なぜ?――何か違った形が必要なんですか」
「私――当分私ども別々に暮して見たらどうかと、この間から思っているの」
「私はちっともそんなことは必要だと思いません」
斬りすてるような語勢であった。
「だから御相談なのよ、お父さんがお帰りになってから、ゆっくり相談していただきたいと思っていたの」
以前から、別々に生活して見るのもよいのではあるまいか、と思ったのは屡々であった。最近、彼女には、そうでもして見るしか新生活のひらけようなく感じられて来た。自分たち夫婦の、生活態度の違いを、抽象的に批評したり主張したり、そんなことで実生活が寸毫も変化しないことを、伸子は経験で知った。佃は生活のあいてとして、そういう種類の人ではなかった。彼は、独特な消極さで、強い生き手であった。
生活を一緒にしていて心持を影響されまいなどと云うのは、できない相談であった。