Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
佃の意見は、全然逆であった。不調和があればあるほど、厭なところがあればあるほど、一緒に生活しなければならない。近くにいて、互に日夜ただし合い、矯正し合ってこそ夫婦だ、と云うのであった。
夫がそう云うのをきくと、伸子は胸の中が熱くなるように感じた。顔色をかえ、彼女は掴みかかるような眼で彼を見た。
「あなたは、じゃあ、いつか一度でも、私が伺うことに、淡白に、男らしく、返答して下すったことがあって? 自分の間違いを、内心でだけででも、正直にお認めんなったことがあって?」
伸子は彼を見据えて、瞬きもしない眼から、ほろほろ涙をこぼした。
「そういうところが、我々の生活の地獄よ。あなたは、私が腹を立てて、つい失礼なことを云ったり、したりしちまうまで、冷淡だったり、ずるかったりなさる。あとで、私がそのことを謝ると、本当の理窟まで私が引っこめでもしたように、御自分の方はそれなりけりじゃないの。あなたのは言葉だけよ――言葉だけです。それで、本気な生活ができると思っていらっしゃるの?」
伸子は袂で自分の顔を拭いた。
「……私は馬鹿だから、いつも、今度こそは、今度こそは、と思っていたけれど、もう、いや!」