Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
「ほうら! だから僕、変だと思ったのさ、息を二つに分けて使うなんて――」
伸子も笑い出した。
「でも、すぐ変だと思った? 私は本当にやって見ちゃったわ」
「いつ?」
「ずっと先、西洋のお爺さんにかつがれたの」
保が上野行に乗るのを見送ってから、伸子はライオンの前から電車に乗った。早い午後で、車内は空いていた。伸子は包みを膝の上にのせ、開け放した窓から濠端の景色を眺めた。夏らしく、透き徹った明るい西空であった。重い、石垣の面と色、芝生、鬱蒼と緑濃い老松などが、闊やかに曲折した水と照り映えて、如何にも日本的な美しさに充ちて見えた。伸子の、さっきからの名残りで、表にだけ明るさの漂う、沈んだ心持に、この眺めは快適であった。
向う側に、一人女のひとがかけていた。三十七八の品よい夫人で、もののいい黒っぽい服装、軟かそうな髪の毛から下駄の爪先まで、落着いて素直な感じであった。膝の横にある洋傘も黒であった。内輪な装から、身だしなみのよさや生来の寛容さが、一目の中に輝いていた。ゆったり正面を向き、やっぱり窓外を見ていた夫人は、伸子が見たのに心づいたらしく、ごく自然に彼女の方を見た。