Classici giapponesi con furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Leggi 伸子 (のぶこ) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 232.543 caratteri · 466 schermate
「まだ一二ヵ月あるんでしょう、まだすっかりきまったわけでもないんだろうから」
伸子は、水をとりかえた硝子壜を日向へ置いた。
「……あなた、阪部さんをどうお思いになること」
佃は、伸子の真意を読もうとするような用心深い表情をした。
「あなたの思う通りでは、どう?」
「さあ、相変らずあの男でしょう」
「あなたの心持、変らない? 先と」
佃は、案外そうな、咎めるような眼付でききかえした。
「どうしてです?」
伸子は、先日阪部を二人で訪問してから、友情の一部に変化が生じかけているのを感じていた。彼女には、それが三人のために遺憾であった。一半は自分の責任であるという感情もあった。彼女は佃にぶちまけて、あるなら不快を洩して欲しかったのであった。
「本当に今まで通りなの」
「そうでないわけがないでしょう」
四月の新学期から、佃は出勤し始めた。
初めて出かける朝、去年の暮頃のままの服装で彼が靴をはく後に立って見送りつつ、伸子は感に打たれた。佃にとっても、伸子にとっても、彼の病気は一時的なしかもただの病気でしかなかった。病気だけよくなった。元の彼になった。見馴れた制服を着た元のままの彼に。