Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ほうがんさぶろうのしょうたい

判官三郎の正体

野村 胡堂

Leggi 判官三郎の正体 (ほうがんさぶろうのしょうたい) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.587 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

そのまま、お鶴の手を取らぬばかり、固い表情をした一座へ振り向きもせず、スーッと出て行こうとすると、

「待て」

後から呼び止めたものがあります。

「…………」

黙って振り向く顔へ浴せるように、

「お前は判官三郎だろう」

かさにかかるのは黒津武です。

「何うして?」

「その身の軽さは容易じゃない」

「馬鹿な」

「こら、出てはいかん、今警官を呼んである」

「出るなと言ったところで、この上の逗留は御免蒙ろう、お互に愉快じゃあるまい。僕の身の軽いのは、山奥に育って、猿や猪と一緒に暮したからだ、君のスポーツとやらとは少しばかり仕込みが違うだけの事だよ。僕の郷里は、名題の猊鼻渓から又二十里ほど山奥、中央山脈のお盆の中で、三年に一度も浮世の人の来るところじゃない、あんな所に育つと、大概身軽にもなるよ、嘘だと思うなら、僕と一緒に来て見るがいい」

「イヤ弁解は警官にしろ、逃げるな」

黒津は躍起となって、出口へ立ち塞がります。

「オイオイ邪魔をするなよ、僕は山の中へ帰るんだ。そんなに判官三郎の正体が知り度ければ教えてやろうか、それ、そこに居るその方が、君の尋ねて居る御仁だよ」

指さした方には、富豪の坊ちゃんで、役に立たない事なら何んでも知って居るが、その代り、御飯の足しになることは何んにも知らないという、代表的のモボ宮尾敬一郎。