Classici giapponesi con furigana
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きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Leggi 吸血鬼 (きゅうけつき) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 190.554 caratteri · 381 schermate
一尺ずつ、文代さんとの距離が縮まって、とうとう、手が届くまで接近した。
怪物はもう顔を見せぬけれど、若者が文代さんの身体に手をかけたら、一うちに撃ち殺そうと、真暗な孔の外で、待ち構えているのかも知れない。
無鉄砲な仕事師は、そんなことにお構いなく、鉄骨に足をからんで、火消しの梯子乗りの格好で、両手を離し、文代さんを、宙に抱き取った。
アア、今にも、今にも、ズドンとピストルの音がして、文代さんを抱いた若者の身体が、もんどり打って、数十丈の地上へと、墜落するのではあるまいか。
人々は、手に汗を握り、息を呑んで、首が痛くなる程、天井を見つめていた。
案の定、頂上の丸孔から、真逆様に、怪物の上半身が、ニューッと覗いた。右手が徐々に下へ伸びた。その手先には、ピストルだ。遠くて、見えぬけれど、腕の格好で、それと分る。
「ア、ピストルだ。危いッ」
思わず異口同音の叫び声。
若者は、それと気づいて、流石に驚いたらしく、鉄骨にブラ下ったまま、グルッと身もだえをしたかと思うと、アア、何という無茶なことだ文代さんの身体を、楯にして、賊の方へつきつけた。
と同時に、パン……と、丸天井にこだまするピストルの音。